
出張日当の考え方

みなさまこんにちは。高須賀会計事務所です。
本日は「Q40.出張手当の考え方について教えてください。PART1」というテーマです。
法人から役員・従業員に対して「給与」として金銭を支給した場合には、受け取った側では、所得税が課され、支払った側の会社では消費税の仕入税額控除は認められません。しかし、給与ではなく「出張日当」として金銭を支給した場合には、受け取った側では、所得税は非課税となり、支払った側の会社では、消費税の仕入税額控除が認められます。出張旅費規程を制度化し出張手当を支給すれば税金を抑えることができるのです。但し、出張旅費規程を会計事務所がチェックしておらず、税務調査において源泉所得税の追徴課税を受ける場合もあり、また出張手当の考え方が誤った形で解釈され、税務リスクが高くなっている会社も見受けられます。そこで今回は、正しい出張手当の考え方について解説をしたいと思います。
出張手当の考え方
そもそも、なぜ出張手当は非課税になるのでしょうか。
所得税法9条には非課税になる所得が定められており、1項の4号には以下の通り出張手当が挙げられています。
所得税法第9条第1項第4号
給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの
条文に旅行という言葉がありますが、これは一般的な旅行という意味ではなく、従業員が「日常勤務している場所から出ること」を意味します。
また非課税とされる旅費の範囲は以下の通り定めがあります。
所得税基本通達9-3(非課税とされる旅費の範囲)
法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいう・・・(以下、省略)
上記の通り、出張手当が非課税となるのは、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品となります。出張をすることで発生した経費であり、従業員が負担した費用の実費弁償としての性質があるたので非課税になるのです。
出張に必要な経費
出張をすると、新幹線、飛行機等の「交通費」、宿泊を伴う場合には「宿泊代」の経費が発生します。交通費や宿泊代は出張を行った者が領収書等を会社に提出することにより実費精算ができます。
ですが、これらの費用以外にも必ずしも実費精算が難しい費用もあり、それを出張日当として支給することで実費精算したものとするわけです。実費精算をするのが難しい費用にはどのようなものがあるのでしょうか。例を挙げると以下のようなものになります。
食事代・・・自宅で食事ができないので外食をした
電話代・・・外出しているから電話連絡をした
新聞代・・・出張先にて新聞を購入した
ここまでで、出張手当がなぜ非課税になるか理解いただけましたでしょうか。
次に出張手当が税務調査で否認されないためにはどのような要件を満たす必要があるかについて解説します。
<h2 class=”blog”>出張手当を非課税にするための3要件</h2>
要件は所得税基本通達に以下の通り記載があります。
所得税基本通達9-3
(1)その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて、適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
(2)その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。
以上の通り、出張手当を非課税にするためには以下の3つの要件を全て満たす必要があります。
①役員及び従業員の全てが出張者が支給対象になっていること
②出張旅費規程に定める支給額が適正バランスになっていること
③同業者他社として不相当に高額になっていないこと
こちらの3要件の詳しい解説はまた別の機会にさせて頂きたいと思います。
本日の内容は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。