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Q.10 売手負担の振込手数料は返還インボイス交付が必要ですか?

みなさまこんにちは。高須賀会計事務所です。
本日は「Q.10 売手負担の振込手数料は返還インボイス交付が必要ですか?」というテーマです。今回は経理担当者向けのお話となります。インボイス制度が開始されると売手負担の振込手数料を「売上値引き」として処理する場合「返還インボイス」の交付が義務化されるとのことでした。ですがが令和5年度税制改正により、この義務が免除される予定となりました。

経理処理は2通り

商品やサービスの売買が行われ、売手が買手に対して代金を請求し、買手から売手に代金が振込こまれる際、振込手数料相当額が差し引かれることがあるかと思います。この差し引かれた振込手数料相当額ですが、売手は「売上値引き」か「支払手数料」かのいずれかの方法で経理処理をすることになります。

売上値引きとした場合

まずは売上値引きとして処理をした場合から説明します。
インボイス制度においては、値引きを行った際には「値引きの金額」や「消費税額等」を記載した書類として「返還インボイス」の交付をしなければいけないとされています。これは売手と買手の税率と税額一致させることも目的とするものです。(新消費税法57の4③)

ですが、令和5年度税制改正大綱において、事務負担軽減の観点から、少額な値引き等(税込価額1万円未満)については返還インボイスの交付義務を免除する措置が盛り込まれました。この取扱いは全ての事業者が対象となります。

簡易課税制度を適用している事業者においては、買手から差し引かれた振込手数料相当額は、売上値引きとして処理をしているケースが多いかと思いますが、今回の改正により、多くの不安の声が挙がっていた事務負担増加の問題が解消されることになりました。また小売業等が税込価額1万円未満の商品について返品を受けた場合も返還インボイスの交付は不要となります。

支払手数料とした場合

次に支払手数料として処理をした場合です。
支払手数料(課税仕入れ)として処理をするのは、買手に振込手数料を立替払いしてもらったとの考えによるものです。支払手数料として処理をする場合については改正はないものとされています。

インボイス制度が開始されると「立替払いの事実」を証明するために①振込手数料に係るインボイス②買手が作成した立替金精算書を合わせて保存することが仕入税額控除の要件となります。
但し、買手がATMを利用した場合には帳簿のみの保存で仕入税額控除が可能となり、立替精算書については不要となります。
この場合に、売手は「買手が差し引いた金額が振込手数料であること」を確認し「帳簿のみ保存の特例」の適用を受けることになります。

まとめ

処理方法 経理対応
売上げ値引き 返還インボイスの交付は不要
支払手数料 仕入税額控除適用要件
以下の書類を受領、保存
①振込手数料に係るインボイス
②立替金清算書を受領し保存
買手がATM利用した場合
帳簿のみの保存でOK

 

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