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Q31.役員貸付金がある決算書の問題点について教えてください。

みなさまこんにちは。高須賀会計事務所です。
本日は「Q31.役員貸付金がある決算書の問題点について教えてください。」というテーマです。
役員貸付金とは、会社が役員に対して貸しているお金のことです。
役員貸付金が残ったまま決算を迎えてしまうと税務調査銀行融資の際に、問題となるケースがあります。
今回は、どのようなリスクがあるのか解説をしたいと思います。

そもそも何故発生するのか

役員貸付金が発生するのは、会社が役員個人にお金を貸付した場合だけではなく、知らない間に計上されてしまっていたなんてこともあります。考られる原因には以下のようなものがあります。

①法人口座から預金を引き出し、生活費等個人的に利用した
②法人口座から預金を引き出し領収書を提出したが、経費として認められなかった
③法人口座から預金を引き出したが、そもそも領収書の提出がなかった
④会社の売上代金が役員の個人口座に入金されている

①~④のような原因が生じたときに役員貸付金が発生しますが、役員貸付金勘定ではなく現金勘定で処理されている場合もあります。
現金勘定で処理されている場合にも、現金が妙に多額となりますので、実態は役員貸付金であると気づきます。

では、役員貸付金には、どのようなリスクがあるのでしょうか。
まずは税務調査におけるリスクについてです。

税務調査では「賞与認定」されてしまう

税務調査では役員貸付金について厳しく問われることがあります。
会社から役員個人へ貸している状態が長期化しており、返済する意思がないと見受けられる場合、貸付金は役員の個人的な消費に利用されたのではないかと「役員への賞与」として認定されるケースがあります。
返済する様子もないということで、役員から会社への貸付金ではなく、臨時的なボーナスとして支給されたのだと考えるのです。

(借)役員貸付金××円(貸)現金預金××円
   役 員 賞 与××円

では賞与として認定されると何がまずいのでしょうか。
ボーナスであれば損金に入れることができるし、問題ないのでは?と思われるかもしれません。

しかし、まずもって①役員賞与は損金にすることができません。
更に、役員賞与として認定された場合には、この賞与に対する②源泉所得税を納付しなさいと言われます。
更に、更に、源泉徴収が漏れたことによる③「不納付加算税」が課税されてしまいます。
更に、更に、更に、役員個人が消費した金額については④重加算税となるケースが多くなっています。
このように無駄な税金が多額に発生してしまうリスクがありますので注意をしましょう。

銀行融資においてもマイナス

役員貸付金が残ったまま決算を迎えると、当たり前ですが、決算書に「役員貸付金」が計上されます。この役員貸付金が計上された決算書だと銀行融資を受けるのに不利になってしまいます。

役員貸付金があるということは、会社のお金が役員個人に流れているということです。
そのような会社に銀行がお金を貸すと「商売をするために貸したお金が個人的に消費に利用されてしまうかも」と銀行は不安に感じます。銀行は融資したお金の使途を重要視するので、商売に利用されない可能性があるのであれば融資の審査を通さないわけです。また、金融機関が会社を評価する際には役員貸付金は資産として評価されません。決算書上は、資産であっても、実質的には債権としての価値がないものとして融資判断を行うのです。
このことからも、銀行融資を受ける場合には役員貸付金は計上されていないのが望ましいと言えます。

本日の内容は以上となります。
次回は「Q32役員貸付金が役員賞与認定されないための対策を教えてください。」です。

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