Q29.非課税資産を輸出した場合の消費税の取り扱いを教えてください。
みなさまこんにちは。高須賀会計事務所です。
本日は「Q29.非課税資産を輸出した場合の消費税の取り扱いを教えてください。」というテーマです。経理担当者向けのお話となります。
非課税資産を国内で販売した場合には、非課税売上となりますが、非課税資産を国外に輸出した場合には、特例により輸出免税売上となります。
会計ソフトでは「輸出非課税売上」という税区分を選択することになります。
1.非課税資産の輸出が免税売上げとなる理由
非課税売上げ(車いすの販売等)に対応する課税仕入れ等の税額については、原則として預かった消費税から控除することが認められていません。
しかし、輸出取引についてこの原則を適用すると、仕入れの際に支払った消費税額を控除することが出来ず、その税額相当分を販売価格に上乗せして回収することが考えられ、日本の消費税を実質的に国外の消費者に負担させることになってしまいます。
日本で消費されたものに対してのみ日本の消費税を課すべきであり、このような取り扱いは好ましくないないと考えられます。
そこで、非課税資産を輸出した場合には、その輸出に係る「非課税売上げ」を「免税売上げ」とみなし、支払った消費税額の控除を可能にすることで、海外の消費者が日本の消費税を負担することを防いでいます。
2.適用場面
(1)課税売上割合の計算
課税売上割合 =(課税売上高+非課税資産の輸出売上高) / (課税売上高+非課税売上高)
非課税資産の輸出売上高を免税売上高とみなして課税売上割合を計算します。
(2)課税仕入れの区分
個別対応方式を採用している場合、非課税資産の輸出に係る支払った消費税は、本来非課税対応であるが、これを課税資産の譲渡等にのみ要するものとして区分することが可能です。
非課税資産の輸出の取引例
①非課税資産(身体障碍者用物品等)の輸出
②国外の者(非居住者)に対する貸付金等に係る受取利息
③国外の金融機関(非居住者)への預金等に係る受取利息
④外国債に係る受取利息
②~④は国外からの受取利息
*課税売上割合を恣意的に操作することを防ぐために「有価証券」「支払手段」「金銭債権」の輸出は「非課税資産の輸出」の規程は適用されません。
条文 非課税資産の輸出(消費税法31①)
課税事業者が国内において「非課税資産の譲渡等」のうち「輸出取引等」に該当するものを行った場合において、輸出取引等に該当するものであることにつき証明がされたときは、課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に該当するものとみなして「仕入税額控除の規程」を適用する。
本日の内容は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。