ブログ

税金・会計・経営に関する
有用な情報を提供します。

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 法人税
  4. Q38.利益が出た場合、家族従業員にも賞与は支給できますか?!

Q38.利益が出た場合、家族従業員にも賞与は支給できますか?!

みなさまこんにちは。高須賀会計事務所です。
本日は「Q38.利益が出た場合、家族従業員にも賞与は支給できますか?!」というテーマです。
質問内容は以下の通りです。
役員への賞与は原則として損金にならないと思いますが、①使用人兼務役員や②家族従業員への賞与は損金することができるのでしょうか?
まずは①使用人兼務役員への賞与について解説します。

1.使用人兼務役員とは

使用人兼務役員とは、役員であり部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する人のことです。
例えば、取締役営業部長や取締役経理部長のように役員と使用人を兼務している人がこれにあたります。
このような、使用人としての仕事をしていながら、取締役として経営に参加している使用人兼務役員は、「使用人の仕事に対する賞与」を支給し、これを損金にすることが出来ます。
ただし、使用人兼務役員になれない人もいるので注意が必要です。

■使用人兼務役員になれない人
使用人兼務役員になれない役員は、以下の通りです。
(1)代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人
(2)副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
(3)合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社員
(4)委員会設置会社の取締役
(5)会計参与及び監査役並びに監事
(6)同族会社のみなし役員に該当する人(みなし役員については後述)

税務調査においては肩書により使用人兼務役員かどうかを判断されることがあります。
例えば「取締役営業部長」は、営業部長として使用人としての職務に従事していると考えられますが、「営業担当取締役」だと営業を取り纏める取締役であり使用人としての業務はないのでは?と肩書きで判断してくる場合があります。この場合も実態として使用人として職務に従事しているのであれば、それをしっかり主張するようにしましょう。

2.使用人兼務役員への歩合給

まず、純粋な役員の場合、歩合給は、臨時的な給与(定期同額ではない)となり原則的には損金に算入できません。
ですが、その歩合給が使用人兼務役員へのものであり、支給基準が使用人と同じであれば、使用人としての業務に対する給与として損金算入することができます。
*部下の販売実績等に基づいて支給している場合、従業員と同一基準による支給に反しますから、損金算入はできません。あくまで使用人兼務役員「個人の実績」が必要です。

3.家族従業員への賞与とみなし役員

役員とは、株主総会で選任された取締役、監査役等の会社法上の機関をいいます。
しかし法人税の世界では、範囲は広く、役員として登記されていなくても、同族会社の社長の親族には「みなし役員」という規定があります。
家族従業員が「みなし役員」に該当すると、そのものに支給される賞与は損金になりません。
賞与を支給したい場合は、「事前確定届出給与」の申請が必要となります。

みなし役員とは
(1)法人の職制上使用人としての地位のみを有する者以外の者で、その法人の経営に従事しているもの。
顧問や相談役などの肩書きで、経営に参画している場合が該当します。
(2)会社の使用人のうち「同族判定上の支配的株主グル-プに属する者」であり、その同族会社の経営に従事しているもの。
支配的株主グル-プに属するものというのは、次の①、②および③の要件のすべてに該当するもの。
① 所有割合が最も大きい株主グル-プから順にその所有割合を合計して、その合計が最初に50% を超えるときのそのいずれかのグル-プ(第 3 順位までのグル-プ)に属している。
② その属している株主グル-プの所有割合が 10% 超である。
③ 本人(その配偶者およびこれらの者の所有割合が 50% 超える関係会社含む)の所有割合が 5% 超である。

上記の(1)について
みなし役員に該当しないようにするためには経営に従事しているという要件に該当しないよう注意をしましょう。
具体的な対策として「 取締役会等で経営事項決定に参画させない」「 社員の採用や給与に関与させない」「 融資等の資金計画に関与させない」等、経営の重要な意思決定には関与させないことが必要です。

上記の(2)について
①と②の要件は、同族会社の社長親族である場合、該当してしまうと思うので、③の本人(配偶者含む)の所有割合を5% 以下にさせることが対策となります。

本日の内容は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございます。

関連記事