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Q34.役員貸付金の解消方法を教えてください。

みなさまこんにちは。高須賀会計事務所です。
本日は「Q34.役員貸付金の解消方法を教えてください。」というテーマです。
決算書に役員貸付金が残ってしまっている場合には「税務調査で指摘を受け追加納税が発生する」「銀行融資が通りにくくなる」というリスク生じます。
意図せずに役員貸付金が計上されてしまう場合もあるかと思いますが、その場合にはなるべく早く、役員貸付金を解消しなければなりません。
そこで今回は役員貸付金の解消方法についてご案内させて頂きます。

貸倒損失には出来ないか

役員貸付金は会社から役員個人に対する貸付金であるため「金銭債権」に該当します。
金銭債権は、①全額回収不能の場合や②法的な債権の消滅という「貸倒損失の要件」を満たすことで貸倒損失を計上することができます。
貸倒損失に計上することが出来れば、役員貸付金を解消させることが出来ます。

仕訳
(借)貸倒損失○○円 (貸)役員貸付金○○円

しかしながら、一般的な債権とは性質の異なる役員貸付金に対してこのような処理をすること、とてもハードルが高く難しいと考えます。
法人が役員に対する債権放棄を行った場合でも、やはり役員賞与とみなされ、損金にすることはできません。
借りていたお金を免除してもらったから、役員個人側で儲けが発生していると考え、賞与認定されてしまうわけです。
以上より貸倒損失を計上して役員貸付金を解消するというのは難しいと言えます。

役員個人の財産から返済をしていく

役員個人からの返済をしていけば、役員貸付金を解消することができます。
個人的には以下の4つの方法がオススメです。

①役員報酬を高めに設定し、報酬の一部を返済に充てる。

役員貸付金は役員個人が会社からお金を借りている状態です。
お金を返せば、役員貸付金は解消されていきます。
その原資を確保するために役員報酬を高めに設定します。
手取り30万円を手取り40万円に変更すれば、毎月10万円が手元に残るはずです。
この10万円を返済に充当するのです。
返済予定表を作成し何年返済にかかるかを把握し計画的に進めていくようにしましょう。
金銭消費貸借契約書の作成も忘れずに。

②役員借入金がある場合には、役員貸付金と相殺をする。

決算書に役員借入金がある場合は相殺することで役員貸付金を解消することができます。
役員借入金は役員個人が会社にお金を貸している状態です。
役員借入金と役員貸付金の両方がある場合には債権と債務を相殺することができます。

③個人資産を法人売却して売却代金を貸付金返済に充当する

個人の財産の中に、会社で利用することができるモノがあれば、それを会社に譲渡する形で返済に充てます。
例えば、100万円の役員貸付金があった場合には100万円分モノを会社に譲渡し、譲渡代金を役員貸付金の返済に充当します。
譲渡したモノは会社の所有物となりますので、個人として利用することは出来なくなりますが返済原資が金銭にて確保できない場合にはオススメの方法です。

④役員保有の自己株式を法人に売却して売却代金を貸付金返済に充当する。

こちらも個人が所有しているのモノで返済を行うという方法ですが、少し変わった方法です。
役員個人が所有している株式を会社に譲渡します。
会社からすると自己株式の取得となり、実質的には減資をしたという形になります。

本日の内容は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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