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COLUMN

アパートを建てたときの資産区分(土地・建物・建物附属設備・構築物・備品)

不動産・資産公開日 2026.10.06

この記事は2026年10月時点の法令にもとづいて書いています。その後の税制改正で取り扱いが変わっている場合があります。

会社でアパートを建設すると、建築会社への工事代金のほかに、土地の代金、設計料、外構工事、エアコンなどの設備代と、さまざまな支払いが発生します。

これらを全部まとめて「建物」として計上していないでしょうか。実は、資産の種類ごとに耐用年数(減価償却をする期間)が異なるため、分け方しだいで毎年の経費が大きく変わります。

この記事では、アパート建設時の資産区分の考え方を、具体的な数字を使って解説します。

この記事でわかること

  • アパート建設で登場する5つの資産区分
  • 土地に含めるもの・経費にできるもの
  • 建物附属設備を区分すると経費がいくら変わるか
  • 貸付け用の少額資産の注意点
  • 実務で区分するときに必要な資料

1. アパート建設で登場する5つの資産区分

アパート建設で取得する資産は、大きく次の5つに分かれます。

区分 主な内容 減価償却
土地 敷地そのもの しない
建物 柱・壁・屋根・床・内装などの本体 する
建物附属設備 電気設備、給排水・衛生・ガス設備、エレベーターなど する
構築物 駐車場の舗装、塀、フェンス、植栽など する
器具及び備品 各部屋のエアコン、家電、家具、カーテンなど する

土地は使っても価値が減らないものとして、減価償却をしません。残りの4つは、それぞれの耐用年数で減価償却をしていきます。

2. 土地に含めるもの

土地の取得価額になるもの

  • 土地の購入代金
  • 不動産会社への仲介手数料
  • 売主と精算した固定資産税相当額
  • 宅地の造成費用、地盤改良の費用(原則)

古家付きの土地を買って取り壊す場合

最初から建物を取り壊して土地を使う目的で購入した場合、古い建物の購入代金と取壊し費用は、土地の取得価額に含めます。その期の経費にはなりません。

土地に含めたものは減価償却できません。つまり、売却するまで経費にならない部分です。

経費にできるもの(法人の場合)

不動産取得税、登録免許税、司法書士への登記の報酬などは、取得価額に含めず、その期の経費にすることができます。

3. 建物と建物附属設備の区分(一番大事なポイント)

建築会社への工事代金には、建物本体の工事と、電気工事、給排水・衛生・ガス工事、空調工事、エレベーター工事などが一緒に含まれています。

区分の目安

区分 具体例
建物 柱、壁、床、屋根、内装、建具
建物附属設備(電気設備) 分電盤、配線、照明器具
建物附属設備(給排水・衛生・ガス設備) 配管、浴室、トイレ、給湯設備
建物附属設備(空調設備) ダクトでつなぐ空調設備
器具及び備品 各部屋の壁掛けエアコン

耐用年数の違い

資産 耐用年数
建物(鉄筋コンクリート造・住宅用) 47年
電気設備、給排水・衛生・ガス設備 15年
エレベーター 17年

具体例:区分すると経費はいくら変わるか

鉄筋コンクリート造のアパートの工事費が1億2,000万円、そのうち設備部分が2,400万円だったとします(定額法で計算)。

ケース 毎年の減価償却費
全額を「建物」にした場合
1億2,000万円 × 0.022(47年)
約264万円
建物と附属設備に区分した場合
建物 9,600万円 × 0.022 + 附属設備 2,400万円 × 0.067(15年)
約211万円 + 約161万円 = 約372万円
区分するだけで、毎年の経費が約108万円増えます。15年間で見ると、効果はかなり大きくなります。

なお、建物と建物附属設備は、どちらも定額法で償却します(平成28年4月1日以後に取得したもの)。区分のメリットは、償却方法ではなく、耐用年数が短くなる点にあります。

4. 構築物:建物の外側にあるもの

建物の外にある工事は「構築物」に区分します。

資産 耐用年数
駐車場のアスファルト舗装 10年
駐車場のコンクリート舗装 15年
植栽などの緑化施設 20年
塀、フェンス、ゴミ置き場など 材質などにより異なる

外構工事は建物本体とは別にまとめて請求されることが多いため、全部を建物に入れてしまわないよう、内容を確認して区分しましょう。

5. 器具及び備品と、少額資産の注意点

各部屋に取り付ける壁掛けのエアコンは「冷房用・暖房用機器」として6年です。入居者に貸し出す冷蔵庫や洗濯機も6年、カーテンは3年です。

少額資産の特例

  • 10万円未満の資産:その期の経費にできる
  • 20万円未満の資産:3年で均等に償却できる
  • 中小企業者等の特例:一定額未満の資産を一括で経費にできる(令和8年4月1日以後の取得分から、30万円未満が40万円未満に引き上げ)
貸付け用の資産は対象外
令和4年度の税制改正で、貸付けの用に使う資産は上記の扱いから除外されています(貸付けが主要な事業として行われる場合を除く)。入居者向けのエアコンや家電を、少額だからといってすぐに経費にできない場合がありますので注意が必要です。

6. 実務での区分のしかた

根拠になるのは「内訳明細」

区分の根拠になるのは、建築会社の見積書と請負契約書の内訳明細です。建築工事、電気設備工事、給排水衛生設備工事、空調設備工事、外構工事といった項目ごとの金額をもとに、それぞれの資産に振り分けます。

内訳が「工事一式」としか書かれていない場合は区分の根拠がなく、全額を建物とせざるを得なくなります。契約の段階で、建築会社に内訳明細を依頼しておくことが大切です。

共通する費用は按分する

設計料や現場の諸経費、建築確認の申請費用など、どの資産にも共通する費用は、各資産の工事金額の割合で按分して、それぞれの取得価額に含めます。

完成後に領収書の束から区分しようとしても、根拠資料がなければ税務調査で区分の理由を説明できません。工事の段階から資料をそろえておきましょう。

まとめ

  • アパート建設の支払いは、土地・建物・建物附属設備・構築物・器具及び備品の5つに区分する
  • 土地は減価償却しない。古家の取壊し費用や造成費用は土地に含める
  • 建物附属設備を区分すると耐用年数が短くなり、毎年の経費が増える
  • 貸付け用の少額資産は、すぐに経費にできない場合がある
  • 区分の根拠は見積書・請負契約書の内訳明細。契約前に準備する

アパートの建設は金額が大きく、最初の区分がその後何十年もの経費に影響します。

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