会社の給与には、配偶者や子どもがいる人に上乗せされる家族手当があります。実は年金の世界にも、これによく似た「加給年金」という仕組みがあり、条件を満たすと年金に年間40万円ほどの上乗せが付きます。
ただし、厚生年金を受け取る人なら誰でももらえるわけではありません。もらえる人ともらえない人がはっきり分かれ、夫婦の年齢差によって受け取れる総額も大きく変わります。
この記事でわかること
- 加給年金の位置づけと3つの条件
- 2026年度の金額
- 夫婦の年齢差で総額が変わる理由と、振替加算
- ねんきん定期便・繰下げ受給との関係
1. 加給年金は「2階部分」への上乗せ
日本の老齢年金は2階建てです。1階が全員に共通の老齢基礎年金、2階が会社員や公務員として働いた期間に応じた老齢厚生年金です。加給年金は、この2階部分への上乗せです。
そのため、厚生年金の受給者であることが大前提です。自営業ひと筋で基礎年金だけという方には、加給年金はありません。
2. 加給年金の3つの条件
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| ① 加入期間 | 厚生年金保険に20年以上加入している |
| ② 対象の家族 | 本人が65歳になり老齢厚生年金を受け取り始める時点で、65歳未満の配偶者、または18歳の年度末までの子などを扶養している |
| ③ 生計維持 | 同じ生計で暮らしていて、その家族の年収が将来にわたって850万円以上にならないと認められる |
典型的なのは、厚生年金に20年以上加入した方が65歳を迎えたとき、年下の配偶者がいるケースです。配偶者が65歳になるまでの間、加給年金が上乗せされます。
3. いくらもらえるのか(2026年度)
| 対象 | 年額 |
|---|---|
| 配偶者 | 24万3,800円(昭和18年4月2日以降生まれの受給者は特別加算込みで42万3,700円) |
| 1人目・2人目の子 | 各24万3,800円 |
| 3人目以降の子 | 各8万1,300円 |
子の対象は、18歳の年度末までの未婚の子(障害等級1級・2級の場合は20歳未満)です。金額は年度ごとに改定されますので、その時々でご確認ください。
4. 分かれ目は「夫婦の年齢差」
| 夫婦の年齢差 | 加給年金の総額の目安(年約42万円の場合) |
|---|---|
| 配偶者が3歳年下 | 3年間で約127万円 |
| 配偶者が10歳年下 | 10年間で約420万円 |
| 同い年 | 受け取れない |
同い年の夫婦では、本人が65歳になった時点で配偶者も65歳になるため、同じ保険料を払ってきても加給年金は受け取れません。
配偶者が厚生年金に20年以上加入していて自分の老齢厚生年金を受け取る権利がある場合や、障害年金を受け取っている場合は、加給年金の対象外になります。共働きで配偶者も長く厚生年金に入っていたご家庭では、付かないことがあります。
5. 配偶者が65歳になったら:振替加算
年下の配偶者が65歳になると、加給年金は打ち切られます。その代わり、配偶者の生年月日が昭和41年4月1日以前の場合は、配偶者自身の老齢基礎年金に「振替加算」が付くことがあります。
金額は加給年金より小さくなりますが、配偶者が亡くなるまで一生続きます。昭和41年4月2日以降生まれの方には振替加算はないため、今後は徐々になくなっていく仕組みです。
6. 実務の注意点
- ねんきん定期便には載っていない:定期便の見込額に加給年金は含まれていない。要件を確認したうえで、老後の収支計画に織り込む
- 自動では付かない:65歳の年金請求のときに、対象家族の届出と生計維持の確認書類が必要
- 繰下げ受給との関係:老齢厚生年金を繰り下げている間は加給年金が支給されず、後から増えて戻ってくることもない。加給年金が大きい方は、厚生年金は65歳から受け取り、基礎年金だけ繰り下げるといった選択も検討に値する
まとめ
- 加給年金は、厚生年金20年以上の方が65歳時点で年下の配偶者や子を扶養しているときに付く、年金の家族手当
- 配偶者分は特別加算込みで年40万円超。夫婦の年齢差で総額が変わり、同い年なら受け取れない
- 配偶者が65歳になると、振替加算に引き継がれる場合がある
- 定期便には載らず、請求の手続きが必要。繰下げ受給との相性にも注意する