年金、健康保険、介護保険。どれも毎月保険料を払っている身近な制度ですが、「全体がどうつながっているのか」を説明できる方は、意外と少ないのではないでしょうか。扶養の壁や年金の繰下げといった個別の論点も、全体の地図があって初めて腹落ちします。
この記事では、細かい各論には入らず、日本の公的保険の全体地図を描きます。
この記事でわかること
- 働き方による3つのグループと、それぞれが入る制度
- 年金・医療保険・介護保険の給付の全体像
- 会社員の家族の扶養のしくみ
- 2026年度の保険料の水準
1. 人は3つのグループに分かれる
| グループ | 年金 | 医療 |
|---|---|---|
| 会社員・公務員 | 国民年金+厚生年金の2階建て(第2号被保険者) | 勤務先の健康保険 |
| 会社員・公務員に扶養されている配偶者など | 国民年金の第3号被保険者(自分では保険料を払わない) | 健康保険の被扶養者(保険料の負担なし) |
| 自営業・フリーランスとその家族 | 国民年金のみの1階建て(第1号被保険者) | 市区町村の国民健康保険 |
この3グループの違いが、保険料の払い方から保障の厚さまで、すべての出発点になります。
2. 年金は「老後」だけではない
| 給付 | 内容 |
|---|---|
| 老齢年金 | 老後に一生涯受け取れる。受け取り開始は60歳から75歳の間で選べ、早めれば減額、遅らせれば増額 |
| 遺族年金 | 加入者や受給者が亡くなったとき、その収入で生活していた配偶者や子が受け取れる |
| 障害年金 | 病気やケガで障害の状態になったときの給付 |
障害年金は事故による障害だけではない
がん、糖尿病、心疾患、精神の障害などで仕事や生活が大きく制限される場合も対象になり、障害者手帳がなくても受けられます。公的年金は、老後・遺族・障害という3つのリスクを一体でカバーする保険です。
がん、糖尿病、心疾患、精神の障害などで仕事や生活が大きく制限される場合も対象になり、障害者手帳がなくても受けられます。公的年金は、老後・遺族・障害という3つのリスクを一体でカバーする保険です。
3. 医療保険と、働けないときの手当
病気やケガの医療費は、原則1〜3割の自己負担で済みます。働き方によって健康保険・国民健康保険に分かれ、75歳からは後期高齢者医療制度に移ります。
傷病手当金は会社員側の給付
業務外の病気やケガで働けないときに支給される傷病手当金(所得補償)は、健康保険の被保険者の給付で、自営業の方の国民健康保険には原則ありません。自分が倒れたときの収入の備えは、会社員と自営業で大きく違います。民間保険を考えるときの重要な分かれ目です。
業務外の病気やケガで働けないときに支給される傷病手当金(所得補償)は、健康保険の被保険者の給付で、自営業の方の国民健康保険には原則ありません。自分が倒れたときの収入の備えは、会社員と自営業で大きく違います。民間保険を考えるときの重要な分かれ目です。
4. 介護保険
- 40歳になると全員が加入して保険料を納め始める
- サービスを受けられるのは、原則として要介護認定を受けたとき。65歳以上は原因を問わず、40歳から64歳は加齢に伴う特定の病気に限って対象
- 利用者負担は原則1割(所得によって2割・3割)
介護は、まずご自身の親の問題としてやってきます。公的介護保険で何がどこまでカバーされるかを知っておくだけで、必要以上に不安にならずに済みます。
5. 扶養のしくみ:会社員の家族の「特典」
会社員・公務員に扶養されている配偶者は、年金では第3号被保険者として保険料の負担なしで加入期間が積み上がり、医療でも被扶養者として保険料なしで給付を受けられます。
- 扶養に入れる目安は、年収130万円未満
- 60歳以上や障害のある方は180万円未満に緩和される。19歳以上23歳未満の方(配偶者を除く)は150万円未満とする扱いもある
- 別居していても、仕送りで生計を維持していれば対象になり得る
この扶養の仕組みは会社員側の制度の特典で、自営業の配偶者にはありません。
6. 保険料の全体像(2026年度)
| 保険料 | 水準 |
|---|---|
| 国民年金保険料(第1号被保険者) | 月額17,920円(所得が少ないときの免除・猶予制度あり) |
| 厚生年金保険料(会社員) | 標準報酬月額の18.3%を本人と会社で折半 |
| 健康保険料・介護保険料(会社員) | 同じく標準報酬月額に率を掛け、労使折半 |
厚生年金の標準報酬月額の上限が上がります
現在65万円の上限が、2027年9月以降、段階的に引き上げられる予定です。報酬の高い役員や幹部の方は、会社負担分も含めて保険料が増える方向の改正です。
現在65万円の上限が、2027年9月以降、段階的に引き上げられる予定です。報酬の高い役員や幹部の方は、会社負担分も含めて保険料が増える方向の改正です。
まとめ
- 公的保険は、働き方で決まる3つのグループごとに、年金・医療・介護の3つの制度でできている
- 年金は老後だけでなく、遺族と障害もカバーする
- 医療保険には働けないときの傷病手当金があるが、自営業の国民健康保険には原則ない
- 介護保険は40歳から全員が加入する
- 全体像を知ったうえで、足りない部分にだけ民間の保険を足すのが、保険で損をしないコツ